うるわしの赤を求めて オムニバス/るるりら
 



という名のピンクを探している 
孵化したばかりの蝶でさえ
花の色や香を 損なわないで、しずかに蜜を花から受け取るよ
ふわりと また始めよう  ドレミからはじめた子供のように

それぞれの花の香りが 露を受けている
すずらんのすがしい香りは 足元に
素足の心で 胸いっぱいに  吸い込めば
わたしは今、野生の鹿と同じ いたずらな瞳

すべてのものたちに
もたらされている朝露が
自分のしたことにも しなかったことにさえ 虹をくれている

顔をあげれば 朝焼け
私は今、糸杉からたれさがっている野生化した ジャスミン
エッジを効かせて より明るいオペ
[次のページ]
戻る   Point(12)