よく話したっけ/加藤
楽しさは
長い時の間に流れていく
今が濃縮し
一つの一つの細かい瞬間を 忘れさせる
本当に明日になったらまた会うことになるんだろうか
不信な音が鳴っているのに小さく耳を塞いだ
まだまだ 話は たくさんあるんだ
性格が違うと
気持ちが出た時違うもんだとよく分かる
けれども 似通った空気があればあるだけ
そんなものはささいな感情で
全く別の場所を見続けたって
目つきが同じようなら通い合う
頑なに育ててきたたったひとつの道しるべ
いつの日か誰かに受け渡した
このまま忘れていくかもしれない
冷たく消える風と一緒に
優しさがいつかこわれてしまっても
こわれたその後にも何度もふれて確かめたい
前を向くのはとてもむずかしいので
このまま私はこのままの私でいても
信じられるもの全部信じてもいいと分かった
変わっていく風の向こうに歩いていって
約束を交わす
次に会うまで新しい話を探そうと思った
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