あやまちの国/クナリ
抜けた髪を拾い集めて
飲み干せもしないグラスを舐めている
あんなに昔好きだったスツールも
今は
あんなに昔好きだった本の墓場
指先であばらをなぞる
骨がある
皮が包む
あんなに好きだった自分の体も
今は
触れてくれる人もいない感傷の残骸
部屋の隅に頭を当てる
重力のままに下へすべる
やがて
右に壁
左に壁
下に床
行き止まり
行き止まり
私が決めたから
そこで終わり
叫び方は知っている
呼び方も知っている
叫ばない方がいいと知っている
呼んではいけないと
あれだけ繰り返せば
もうとっくに知っている
違う
違う
初めから知
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)