ハリケーン〜崩壊の序曲〜ファウスト/Terry
 
とる達夫はシュートを停止して、反対側の審判の方を振り返り着地した。達夫は自分がトラベリングで笛が鳴ったと思っていた。
 バスケットボールの公式試合は初めてで、
?バスケ部員はああいう動きをするんだ?
 と思い、正ちゃんに演技も含めて、
「すみませんでした」
 と弁解すると、正ちゃんは渡されようとしているボールを叩き返した。クラスの女子達は、
「うわー、本庄君が」
 どよめいていたがその反面、
「知らないんじゃないの?」
 との声も挙っていた。
男子は、
「時間稼いどったんやぞ」
 弁護をしてくれた。
正ちゃんは、
?そうやったのか?
 達夫に手で謝った。
達夫がシュートをやめた際に女子達は、
「やっぱり打てない」
 との声があった---見せてしまったのだ。彼女に。あのコートで。ドリブルをしながらその下校通路を眺めると彼女がいて、わざとシュートを外し八百長をした---この試合は一体どうなるのか、女子達も責任をわずかならずとらされている、いや、何が隠されているのか。
戻る   Point(0)