小さな朝のギャラリー/ichirou
いつの間に寝ていたのだろう
まぶしい
もう朝か
目の前に虹がある
壁紙のわずかな凹凸紋様と相まって
まるで絵画のようにかすれて
わずかに揺れているように見える
虹
近所の子供とボールが跳ねる音
ここは
僕の部屋
あの世のブロッケン現象じゃなかった
揺れていたのは軽い二日酔いのせい
昨夜聴こうとして落としたCDを拾い上げると
虹は天井の奥に吸い込まれて消えていった
ああ
そうだったのか
声に出して納得して
横を見ると
誰もいない
こんな小さなギャラリーでも
誰かを招待したかったと
そう思った朝だった
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