当惑する桜色/るるりら
いつも こんなふうに いろんなものが 蠢いているのが 本当の姿で
むしろ いつもの景色が遠くまで見渡せる景色が、嘘なのかもしれない
いつもは見えないだけど、いつも桜が空中を埋め尽くすように
いのちに満たされて それらは いつしか沈殿したり 浮上したり
こうやって わたしを包んでいてくれていて
私を白くする
私を 淡くする
私を 広げる
私を とりかこむ あわいあわい さくらいろ
ふだんはみえないけれど いまの わたしは さくらの まっただなかにあって
当惑するし たたずむ さくらの中の ただの人
つつまれたかったんだ
包まれたいという単純な願望を
わすれていた
わたしは いつもこんなふうに つつまれていたんだ
わすれていた
戻る 編 削 Point(10)