当惑する桜色/るるりら
 


(今のは、
)

うつむいたまま 石畳の下り坂に さしかかったところで
わたしの背中を押した 今のは?
眼下の階段には
無数の花びらの影が蠢いて なにやら
むぅら むら 
無数の点のような 気配が それぞれ かってに動きながら 階段を逆上してくる
私の背中を押している なにかがある

ふりむくと そこには無数の桜の花びら
あたり一面で乱舞しながら 
あたり一面に 桜が舞い
それぞれの花びらの落しているた影も 乱舞していて
階段に映し出されている影は いまも浮上してみえる

ふと この空間にある出来事は
桜の散っている今だけではない気がする
空間には い
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