自我像/ichirou
 

僕は書く

それは文字による記録ではなく
文学作品でもない
書いているのは

言葉

自分の考えや気持ちを表す言葉
つまり
自分を言葉で表した
自我像

僕は僕のことを誰かに知ってほしくて
自分を
自我を
言葉で書く

誰も僕のことを知らなくても
僕は僕なのだけれど
誰も知らない僕は
自分が立っているこの地面がわからない
生身の僕自身ではなくても
自我像の僕を誰かが知っていてくれたなら
僕は自我像として自分が立っているこの地面を
踏みしめることができる
僕の自我像が
この地面を歩いて
どこへでも行くことができる

そして
生身の僕は
自我像の僕を見つめ直し
新たな僕になり
新たな自我像を
言葉で書いている





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