心はいえない/オダ カズヒコ
ぽの
夏休みの校舎
母親と歩いた廊下
むき出しなった太陽が
窓から燦燦と差し込む
2学期から君は
ここの生徒
時々記憶は
ぼくらをとんでもない場所へ
連れてってくれる
新宿の下宿に上がりこんだ
恋人と
はじめてのキスをした
4畳半の畳の上で
スカートの裾をしきり気にしはじめた彼女を
ぼくはぎゅっと抱きしめた
あぁ
新宿の街ん中
ここにもちゃんと蛙がいるんだ
裏庭でゲコゲコと
ツツジの花の下で
同じ泣き声で
ちゃんと鳴いている
女もきゅっと
ぼくの中でないていた
心はいえない
なく理由も
なけなくなった理由も
心はちゃんといえない
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