姉ちゃんの本棚のホットロード、/末下りょう
4つうえの姉ちゃんの本棚には、(ホットロード)と(瞬きもせず)しかなかった
たまに学年成績トップとかの姉ちゃんは、本棚に紡木たくしか置かなかった
こんなの読んだらオカマになると思って僕は読まなかった
小5の春休み
姉ちゃんが塾に行ってる夕暮れ
なにも読みたい漫画がなくって 、
なんとなくホットロードの1巻を姉ちゃんの本棚から抜くと
表紙の絵がきれいで、そのまま僕はページをめくった
それらは僕に吹きつけるある瞬間をなお支配する気分の、感傷の、産みの親になった
タクティスに憧れ、
しゃがむ夜のアスファルトはこんなにも冷たく、400Fの青い風が
測ることのできない火
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