不思議な顔/藤原絵理子
 
枯れ葉色の服を着た
不思議な顔の人が
あたしの家の前で
ばたりとたおれる

空気を切り裂く
やかましい音
不思議な言葉の叫び声
うちの犬が走りまわって吠える

町で見かけるおじさんも
枯れ葉色の服を着て
燃えてる車にもたれてる
けむたくないのかな

空が泣き声をあげてる
風も吹いていないのに
砂あらしの夜みたいに
あたしは息をひそめるんだ

不思議な顔の人が
にこにこしながら握手する
あたしは不思議さがこわくて
泣きそうになる

犬がおとなしくなって
空が泣きやんだらいいけど
それよりか
早くお父さん帰らないかなあ

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