年輪/オダ カズヒコ
 



雪の降る場所に
ぼくの人生はあった
雷鳴の鳴るその下で
ぼくはその人に出会った
野っぱらに立つ
樫の木ように
悔いることなく
根を張った

恋しいと感じたのは
何時から何時までのことであったのか
結局自信の持てぬまま
その時空に身を潜め
生きてきたのであろうけど

もう通うことのない思い出を
訪ねることのない心は
やはり空っぽで
寂しいものだ
4月の空は
なんともきれいだが
通うことのない思い出に
心侘びしく
犬のようにうなだれてみたりする

甘い味噌の匂いのする
イノシシの肉を炊く
妻と子供の
たわいのない会話が
途切れ途切れ
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