僕たちは生きているだけで人生については十分論じ合っている/ふるる
 
指先でぬぐえない
苦しみの跡が
陸にあり

次の世代に期待、と今の老人がいうとき
それは諦めでもある
問題を解決しても次の問題が持ち上がる
償いをしても次の償いを要求される
支配者を排除しても他の支配者が収まる
システムを変えても別のシステムが起動する
万人に都合のよいことなんてあるはずがないから
いつだって不満と欺瞞と傲慢だらけだ

いいところだけ見れば昔はいいし
悪いところだけ見れば昔はとんでもない

折り紙みたいに全ての折り目はつながっていて
つまりあの時のあれがいまにつながっているという論法
つまり誰かが喜べば誰かが悲しむという寸法

指先でぬぐえな
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