桜の若樹と赤いスカートの少女/もっぷ
 
一本の桜樹の隣に佇んでいる
赤いスカートの少女の笑顔は
難しくてきっと誰にも
読み解くことはできないだろう

花は満開で風から逃げながら
逃げ切れずに儚くしている
舞う薄桃色に歓喜する
酒に狂い咲きのひとびとの顔を

小憎らしげに思いながら
このどちらかといえば若い樹は
いったい葉のころの自らの扱われ方を

どのように覚悟しているのだろう
赤いスカートの少女にだけそっと
打ち明けるかのような

彼女にだけはそっと、
のような
そんな彼の心持ちが

誰かが写した過去の写真に
しっかりと
切り取られていた


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