とても単純なカラクリで/もっぷ
夜の森に鹿は居て
、もう書けない
春に実った野ブドウを食べている
わけはないと(は、
違った意味で)当然だったはずのことが
そうではなくなり
永劫のような空腹を抱えて
すっかり神経は擦り切れて
やっぱり
夜の森の鹿には
満開の桜の隣で野ブドウを
食べていてほしかったりするのに
現実のなかの困難と絶望とそれ故の眩暈は
圧倒的にわたしを貧困にする
わたしの
(あったとしたなら)
ポエジーを
夕刻の森の鹿は秋に野ブドウに寄り添い
時折り村のほうを眺めていた
ヒトの灯りは彼にはやさしくみえた
そして彼は
いままさにその額をつまり命をヒトに
狙われていることをも悟っているのだった
(どこかで読んだ詩が浮かぶ)
(プラスわたしの稚拙な脚色)
もう何もみえなくなった
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