つまづきの歌/クナリ
つまづく者を 見守る者は
つまづくことで何かを 掴んで来た者たちだ
つまづかないよう 見守る者は
つまづく度に何かを 失って来た者たちだ
石造りの壁に つながれたなら
不貞腐れてる間に 君の足から
からたちのような 根が生えるだろう
その根の先でたどるのだろう
あの優しかった人々の声を
同じ形でなぞりながら
うつ伏せる者を 見守る者は
遥か高みを睨み 起き上がって来た者たちだ
うつ伏せる者と 手をつなぐのは
土を噛む苦さに 泣いて来た者たちだ
あの誰もいない町で 誰もが待っている
それぞれの優しさで 強かな振りで
木漏れ日の形の指は 届くのだろう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)