窓越しの雪/いねむり猫
 

雪に写すのは 苦しさに ちりじりになった心

雪に移すのは 物陰から覗き見る 豊かな人々への憧れ

雪に映すのは 影絵のような 古びた記憶の中の つらい出来事

雪にうつして 積み重ねる この無為な時間


窓越しに見る雪に その時の気持ちを 寄り添わせてしまう 私の癖

それを冷たく笑って 雪は美しく 降りしきる


窓の光に 生き物のような 一片が閃き 舞い遊び

遠い街灯の下に 細かな光の福音が 降り積もっていく


雪に静かに吸われていく 
時と 思いと


残された静けさの中で 抜け殻になった私は 
ただ 立ちすくんでいる


置き去りにされ 

自ら立ち止まり 

孤独を選んだ


そのどちらにも かまうことなく 雪は降り続き

私は 雪の中に埋もれて 

私の形が なだらかな雪の起伏に 消えてしまうことを
私は 望んでいる

戻る   Point(2)