小詩集【あおい瞳】/千波 一也
 

 ぎこちなくても
 苦笑いでも
 無愛想でも

 届くといいね
 そのプレゼント

 きみだけの
 あの人に

 あの人だけの
 きみ宛てに





八 空はうたう


 空はうたう
 いのりの総てを受けとめて
 あおい大きな
 鏡となって

 空はうたう
 かなしみの始まりを
 さまよって
 海に
 なりきれはしない
 海として

 空はうたう
 よろこびの終わりに
 触れたりせずに
 すむように
 片意地張って
 ついに
 雨を
 ふらせて

 空はうたう
 いのちの総てのひび割れを
 透けた両手で

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