卒業式のあとで/平井容子
 

みなみの国で生まれたような顔して
じつはとてもさみしい名前だ
だから呼ばない
必要としない

カウチって良い響きね

そうかもしれない
もう大人だから
寒いときは毛布を買おう

ピアノだって弾くし
もう果物を皮のまま食べたりしない

それでも傘も持たずに
あの角を曲がることもある
56丁目のあの喫茶で
あわよくば君の
雨の街が食べれるらしい


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