冬模様(雑詠)1 (一〇首)/もっぷ
傘潰したいかのようにふる雨に応じるように生きる日々あり
つい泣いてわけ訊くひとも無い暮らし言いたい気持ち抑えられない
そろばんもカエルの解剖実験も避けて通れた転校万歳
大規模な改修工事もましとする爪で黒板ひっかかれるより
その音は禁じ手じゃんと言いたくて外の工事は真冬だと知る
水は水荒川きょうの輝きに応えて流れゆく太平洋
冬日向みつけて歩く猫たちの夜の心配杞憂なのかも
妹と思った猫の居るお寺しずかに晴れて冬ひと休み
アメ横のいまはどうしているのかなテレビのない眼に過去の年の瀬
こどもの眼炬燵の上を彷徨って蜜柑を選ぶ冬の一日
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