ごおしちご「春」 (二〇句) 1/もっぷ
 
梅便りダウンのなかのホッカイロ


風の名のいろとりどりに春来る


朝まだき恋する猫の散歩道


春うららタンポポですと名乗る君


御宿の二人と駱駝に春の風


空がある国境のない空がある


クローバー溌溂小学一年生


間違って雲落っこちて春の雪


桜木に国中からのラブレター


カレンダー開き直って花だより


窓を撃つ礫となりて春の雨


不意打ちじゃないけど不意打ち春来る


ただいまとゆって窓撃つ春一番


春だからタバコは止める決めたんだ


道新の日曜文芸欄に春


外套の重さも遠く春羽織る


蛇口から流れる水が春名乗る


鳥曇りストイックなる群れがゆく


モンシロチョウ「抒情文芸」表紙の絵


春の庭縄跳びの子の白い靴


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