親戚のひと/山人
 
うだった。
 それでも、叔父はいつもいつも小言を言い、文句を言い、何かを呪い、起きている時は怒っていた。
 ある日、叔父は田圃の作業中に畦で亡くなったそうだ。叔父はきっと、田圃で作業しながらも厭な事を考え、怒っていたんだろう。世の不条理を恨み、そして神様は一本の管に鋏を入れてしまったんだろう。叔父はカメムシのようにカラカラと死んでいったんだ、そう思った。
 祖母も大分生きたようだが、施設で死んだそうだ。

 猟期の最終日、私は親戚の家の手前辺りからカンジキをつけて歩いていた。親戚の家の位置には雪が覆い、真っ白に均された雪原となっている。親戚の家のうしろに大きな杉が何本かあり、小さな尾根になっている。この尾根のうしろを通り、叔母と山道を歩いて村祭りに行ったのだ。
 大きな杉の木から、初春の陽射しにくたびれた雪の塊が落ち、雪面には私の影が長くなり、セッケイカワゲラがおびただしく雪上を徘徊していた。

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