親戚のひと/山人
、右に曲がる時は左に体を傾けれ、とアドバイスしてくれたものだった。石だらけの土埃の上がる道を下っていくと、小さな発電所があり、桜並木があった。
親戚の家は山の中の一軒家だった。
隣の部落の村祭りがあると、叔母は私を連れて懐中電灯を灯し山道を歩いていった。どこをどう通っていったのか、さっぱり解らなかったけれど、田圃の真ん中に小さな小さな鎮守様があり、太鼓を叩くやぐらがあって、明るい提灯がたくさんぶら下がっているお祭り広場にいた。知らない人の中で私だけが明るいところにぽつんと立っていた。叔母はニコニコしてどこかのお兄さんと仲良く話していた。
月日がめくられると、昔のあの藁葺き屋
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)