親戚のひと/山人
親戚の家に行く時は蒸気機関車に乗り、二つ目の駅で下車した。ひたすら砂利道を歩き、途中で山道に分け入った。薄暗い山道を息を切らして登っていくと、大きな杉林のある地獄坂と呼ばれる場所があり、そこを登りきると親戚の藁葺き屋根の家が見えてくるのだった。
親戚の家には老犬だが、大型犬がいつも吼えていた。私はその犬が苦手で、外で祖母が来るまで待っていたのだった。玄関で何度か飛びつかれて泣いてしまったが、祖母は笑っていた気がする。今から思うと私が来たので犬は喜んでいたのだろう。
祖母はガラガラ声でいつもクンクンと鼻を鳴らしている人だった。昔から肉体労働はしない人で、ひたすら家の中のあらゆるとこ
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