蜃気楼/藤鈴呼
はらりと咲く 丘の上に 置いた花びら
ぽろりと泣く 雨だれの音が 響く度に
切なくなるの
追い駆けたいの
らくだが 目の前を 横切って
ここは砂漠なのです と 泣くから
手にもしていない 水筒の行方を
探し求めては
四苦八苦
キョロキョロと 辺りを見渡しても
オアシスさえも 見えないけれど
あなたには 見えているのね
あの 蜃気楼が
それは 夢だったんでしょう?
完璧な 笑顔のままで
少しだけ 唇を 歪めた
その音声は 最高の ハミング
いつもの調子で 話すよりも
ずっと 都合 良いみたい
誰もが振り返る
あなた と言う 存在自体が
わがままなの
あなたを羨む 私自身が
あさはかなの
きらりと揺れた 星の中に 心隠して
覆った
おおった
おいおいと泣いた
おーいと呼ばれている内に
振り返れば 良かったのに
そうすれば
あなたと同じ角度で
観えたのかしら
あの 蜃気楼が
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