三月の最初のララバイは/もっぷ
 
三月の最初のララバイは雨の歌
時計の針の音のように
三月が礼儀正しくやって来た
いらっしゃいませと呼ぶ
わたしたちの声はすっかりと枯れて

この礼儀にかなう歓迎はないのかな
三月が厳かに言う

それは違うよ
こどもの寝言だろうか

三月は本当はスキップが好きな
陽気な娘のはず
湿気た夜からはじまるはずはない

…けれど

三月の最初のララバイは雨の歌
四季とは、敷居の高い
人智及ばぬ
天に従うものだった


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