【蝉の悲鳴に別れを告げて。】/三上あず
少女はいつものように限りなく、かぎりなくきらきらと輝いていました。それでも同じように夜は明けて朝焼けが訪れ、少女はいつものように歩くのでした。そこは夢でした。そこはゆめであり少女の頭の中でのできごとでした。少なくとも少女はそう思っていました。
いつもと同じように必然的に少女は輝いていました。もう時間はないのだと知りました。夜は訪れることはなく、少女の夢は終わったのでした。ゆるやかに終焉は訪れ、伴ってやってくるのは喪失でしかありませんでした。二度と夏が訪れることはなく、従って四季も少女の前から姿を消したのでした。
ゆめは何も言わずしずかに終焉を迎えたのでした。
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