音楽/葉leaf
ものによっては限りなく前進的で肯定的なエネルギーに満ちたものもあり、音楽の鼓動がじかに伝わってくるのを感じた。
音楽は私の空洞に向かってくるのだが、初めそれは音ではない。それは金色の雪であったり顆粒状の炎であったり透明な魚であったりする。それが伸縮自在にめまぐるしく形と色を変化させながら私の肌を覆い尽くす。私は音楽によって演奏される一つの楽器だ。管楽器のように息を吹き込まれ、弦楽器のように爪弾かれ、打楽器のように叩かれる、一つの楽器である。音楽が鳴っているとき、私の身体が音楽によって演奏されているのである。私は著しく冷たい空の内側でダンスする。著しく柔らかい地下の化石と共に身を悶える。哲学は解釈され、物語は解体され、衝動や不条理さは論理を獲得し、絶望や憤怒は昇華される。私は音楽を聴くのではない。音楽によって演奏されることにより、すべてを織り直していくのである。
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