多摩川とねこと雪/2012
音のない窓辺で
ねこは多摩川の景色を見ている
遊びたいなと思って
幾人かの子供達を見ている
外に雪が降り積っても
ねこは多摩川の景色を見ている
外に出たいなと思って
同じ時刻
同じ方角を
ずっと見ている
何年かに一度の大雪の日に
ねこは外に出た
冷いけどふかふかする真っ白な雪に足跡をつけて
道路を渡る時は
道行く人が見守ってくれる
道路を渡る時はあぶない
はじめてみる何かが走り狂っている
でも
ねこは家にもどらなかった
自分自身の
家が欲しかったから
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