妖艶な虫かご/藤鈴呼
 



溶けたカラメルが
ゆっくりと べったりと 
頬に 絡みつく

気持ち悪いから
手を払いたいのだけれど
腹が痛いと 繰り返すので
邪険にも 出来ない

ジャンケンで決めようとした宝くじが
空くじに変わった瞬間
空の色も 妖艶に 代わった

薄い セロファンを
はしたなく 切り捨てたような
一部分だけが
リアルに 光る

ニヤリと笑う 眉の形に伸びた
飛行機雲が
前方で 旋回を繰り返す

説法など もう 
聞きたくは ないと 言うのに

カラメル カラメル 空メール
絡めた筈の ユビ 離レール

こんな筈じゃなかったと言う名の列車が
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