氷上に咲いた一輪の青い花に/寅午
 
きみは前日の失敗をかかえ、氷上に立った
その日のきみは前日とちがっていた
蹉跌はきみのなかでいくどもいくども燃やされ、灰燼に帰していた
きみはシンボルのジャンプをきめ
きみのフィギュア人生のすべてを
つぎつぎ演じて、氷上に舞った
羽のいく本かは傷つき、痛々しかったけれど
そのすがたは不死鳥そのものだった
きみはわたしたちに感動をプレゼントしてくれた
金銀にかえられないものを
きみはこの世界に、
金よりももっと素敵なものがあることを思い出させてくれた
わたしの心は一晩中ふるえた
―これはひとりの爺の血迷い、狂熱にすぎないのだろうか?

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