つまりデートコース、/片野晃司
 
つまりわたしたち、息詰まる草花たちの体臭と湿度のなかで、街路樹があり、ゆるやかに放物線を描く遊歩道があり、手すりがあり、低く絡みつく視線のなかで、プランターがあり芝生がありベンチがあり、ガラスがありステンレスがありプラスティックがあり、服飾がありアクセサリがあり、敵があり味方があり、もっともなめらかな部分があり、もっともやわらかな部分があり、そして交差する視線、身を隠す薄暗い窪みがあり、食事の予約があり、公共の場所でのセックスはきつく禁じられていましたし、深くキスを交わすことも、みだりに下着を覗かせることすらもできませんでした。そして敵、襲いかかる凶器、つまりわたしたち、死ということについて語り合
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