The-so-mato-LAND(第四稿)/赤青黄
ツだってさ!」「兄が病気で倒れたの」「それからそれから?」「サクサクサクサク」「たりないなあ」「なんかおもしろいことあった?」「だれか噂してる」「声。声。」「ただいま」「おかえり」「もうかえってこんかも」「とうちゃん」「かあちゃん」「とんかつまだ?」「いただきます」「も」「ごちそうさまでした」「も」「明日はじいじもよぼうか」「あ!ほたる!」「なつのゆきね」「ねぇ外いってもいい?」
―――そらやきあげるはねのおと
「ほしぞらがきえた」
「ほたるはつちにきえた」
「とんかつもつちにかえった」
「はなはそれらをすくいあげた」
「庭々を埋め尽くす紅い火鉢、
so-mato-LANDに花火はあがらない」
「そう、なにもなかったことにしないといきてゆけないんよわたしたち。おもひでが、いつまでも穏やかな海でありますように」
乾いた指先で花を摘み取る、彼の波の、瞳に映る光の輪が、海月の青に、とけこんだ、ひっそりとまぶたをおとして。
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