禁止/葉leaf
おのずと人工性の結晶体のような精神が住まうのであった。
私は住んでいるマンションを出て、近くのコンビニに買い物に出かけた。するといきなり風景が私を襲った。風景は単なる捨て去られていくものではなく、それ自体がとてつもない情報量を持った負荷として私の精神にのしかかってきた。私は立ち止まってぐるりを見渡した。マンションの細かい造りや街路樹の精妙な在り方、人々の歩く体のダイナミックな運動、それらが今現在与えてくる情報量だけで、私の容量を軽く超えていた。動いてはいけない! 今のこの風景だけでも消化しきれていないのに、ここで私が動いてしまったら風景はさらに新たな過剰な情報をもたらすだろう。今この現在の充溢を味わい尽くせ! それまではこの場を動いてはいけない!
私は今でもこの瞬間をたびたび思い出す。現在を消化することなく安易に未来へと向かってしまうことを禁止する呼び声、過去からの連続を断ち切って安易な新しさを求めてしまうことを禁止する呼び声、これは私の呪われた誠実さであり、捨て去ることのできない愛情である。
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