禁止/葉leaf
 
仙台で大学院生をやっていたころ、仙台には故郷とは違った風土があることに気付いた。風土とは地形や気候だけではない。そこに暮らす人々の気質でもあるし、道路の混み具合でもあるし、交通網の整備具合でもある。市街地から大学のキャンパスへと、広瀬川の橋を渡るころには辺りに公園や神社などの緑が見え始め、美術館の前を通ってキャンパスに至る頃には緑がよく見えるようになる。私の郷里と比べて、仙台の人々は、都会生活で身についたスピードの速さと干渉の浅さがあったが、厳しい自然の中で生きる人間に身につく根深いところの忍耐力と温和さは共有していた。私の郷里がほとんど農村であるのに対し、仙台は都会であり迷路であり、そこにはおの
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