OMMADAWN/无
私は座っている。なぜなら私が、座っている自分自身の姿を心に思い描いているからだ。同様の理由で世界には雨が降り続いている。冷たい雨だ。人がその中に立てば数分で息絶えるほど無慈悲な雨だ。いつから降り始めていつまで降り続くのか。それは私の仕事ではないから分からない。分かりたくもない。ただ、少なくとも私がこの部屋から決して出られないように、この雨も私が世界を認識し続ける間は降り続けることだろう。かつて明日を信じていた子どもは、この薄汚れた鏡の中で飼い殺しの目に遭っている。ある雨の夜、雨垂れの音が永遠に続くことに気付いてしまった時から、私にとって明日という時間は降り続ける雨にすり替えられてしまったのだ。
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