美しき世界/田園
 
美しき世界



ほたりと雫が落ちて、
地面につく前に消えてしまう。
それはまるで届かなかった対話のよう。
繋がりたくて、それでもぬぐった涙のよう。

私は長く病を患い、
時にいじけ、
時にうらみ、
とても心が汚れていた。

しかし、この頃思うのだ。
私がどこまで堕ちようが、
世界は変わらず美しいと。
美しい世界に包まれて、
私はただ遊んでいたのではないかと。

届かないのなら何べんでも叫ぼう。
私はあなたが好きですと。
涙もぬぐわず生きてみよう。
地面に立つ霜柱のように。

私はもう、病に恋をしたりしない。
私はもう、対話を諦めたりしない。

消えた雫は戻ってはこないが、
悠久の時は、また巡りくる。

美しく咲きほこる私たちという人間。
永遠なるくりかえし。
その循環の中で私は遊ぼう。

次へと進む、その日まで。


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