命日二〇一三 (二〇首)/もっぷ
 
{引用=風の無い闇に静かに落ちる雨春の嵐が恋しい初冬


冬の雨君に問いたい風も無く終日落ちるだけのさびしさ


この空の身の上ゆえのなみだかと凪いだ東京十二月の雨


失くしてた羊の君がみつかって午前三時の父の命日


あしたまで咲いてはいない花買って荒川にゆき投げる命日


遠くない五年も前の命日のよりそうような君立った冬


いまはどこたずねて応え無い晩の明けて西には名の無い墓標


供養塔きみの名は無くたずねれば「あと三万」と坊主に言われ


偲ぶのはわたしだけかと悔しくて冬に命日雨と迎える


白菊を供えるためでなくて買いただ荒川のに
[次のページ]
戻る   Point(2)