命日二〇一三 (二〇首)/もっぷ
 
のにびをみている


「お父さん」墓標へ宛ててつぶやいて薔薇が買えない財布悔しく


泣け財布きょうだけは泣け命日だあすはかならず訪れるから


イブだけはケーキを買うと決めているそれまで何を食べて生きるか


経つだけは経った五年のきょうも冬その日を思う父の命日


間に合った息しないきみのベッドには息するきみがみあたらなくて


水道の蛇口ゆるんで水落ちる音だけが居る冬のこの部屋


線香の煙がしみて泣きましたうそとほんとの境の消えて


十二月きみの命日越えたなら次はあの仔の命日の冬


雨ならば上がったかなと明らめて曇りガラスが正解隠す


こんな冬かぞえきれないこんな夜いつも命日前夜のようで}


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