散歩/和田カマリ
 
かった

あのような松の木を
クリスマスツリーにしたことがある

もみの木を頼んだのに
おばあちゃんが
松の木を切って来た

幼かった僕は泣いた
あの頃は今より
色々な事に対して
こだわりがあったから

セピア色の写真があった
松の木のクリスマスツリーを前に
母と僕がとんがり帽子をかぶり
クラッカーを鳴らしている所の

だけど
あの写真はいったい誰が撮ったのだろう

おばあちゃんは機械音痴だったから
多分違う

じゃあ誰が

何もかも無くなってしまう
何もかも解からなくなってしまう

岩盤に腰掛けた僕は
岩のぬくもりを感じた





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