挽歌/……とある蛙
 
ま噛み付かれ
慌てて海に飛び込んで
溺れてそのままお陀仏よ

土左衛門になったけど
その土左衛門が父親と
後で母に囁かれ
少しの涙もこぼれなかった

そのまま俺も船乗りで
おもしろくも無いコンテナ船
いつもの悲しいエレジーは
今日も港に流れてる。
誰が吹くのかハーモニカ
その旋律は変わらない。

結局自分も不様な生きざま
汚い酒場で飲んだくれ
ブスな女を争って
いきがかり上、ナイフだし、
刺したつもりが腹刺され
仰向けで見る古臭い
酒場の汚い電球が
俺の最後の風景で
次第に霞んで消えて行く
意識の遠くにあのエレジーが
戻る   Point(9)