均衡/葉leaf
連帯できた。だがその連帯は喪失という意味における連帯であり、その連帯によって何かが獲得できるわけではない。私は己の肉体の内部で何かを失ったというよりは、己の労働を可能にしたあの光と風と小雨と小雪を鮮明に失ったように感じた。内部にあるものは失えないのではないか。人は何かを失うとき決まって外部を失う。それと同時に、労働の成果、つまり整然と積まれた薪の山の達成は獲得されたものであるし、しかも私だけではなく家族も同時にそれを獲得したはずである。失ったものと獲得されたものがそこで均衡するのを、私は疲労し憂鬱になった頭脳で考えた。いや、わずかに均衡していない。均衡を感じ取る疲労した頭脳、これが媒介として余計に余ってしまった。均衡には常にその均衡を可能にする連結部があり、私はその連結部として何ものとも均衡せずにただ余っていた。
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