君のえくぼ秘密基地にしていいかい/カマキリ
図書館裏に魔物を飼っている
放課後にしか見えない、しなしなの影を持っている
割れた花瓶に手を伸ばした時に
宇宙はたった五分前にできたのかもしれないと
赤い点々を増やしながら思った
だってさっきまでミドリガメ座なんてなかったし
たばこ屋のおじさんは店を閉めて
彗星が通り過ぎるのをただ待っている
空っぽで釣り合わない重さの頭がたくさんゆらゆらしている
豆腐でも入れてみたらいいんじゃないかと
絆創膏がくるくるってなるのに苦戦中
あのさ
できることなら僕を匿ってほしい
悪いことはひとつもしてないけれど
これからちょっとだけする予定だから
缶ジュースのお釣りで買ったミサイルを抱きしめて
浜辺までは千鳥足
さくっと癖になりそうな音を立てて弾頭を突き刺した
釣り人たちが揃って地球を釣って騒いでいる隙に
この心を推進剤にするんだ
なんだ、悪いことしてないじゃん
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