顔/ビル
 
黄ばんだ紙切れのような脳の甲殻

時を忘れて縦長の穴を掘る

安らかに眠った顔を覆う高価な布

疑うことに疲れ果てた深夜零時


絵になるような横顔の影

その曲線の秘密を隠そう

いずれ

老いるであろう心に


裸になったことのないから

陶酔の滲みがついた顔を洗う

胃が飛び出しそうな一世紀の重圧に耐えて

孤高な数式のように間違いを許さず


思い出の水分が蒸発すれば

輝くはずの日常が静かに息絶える

ドアの外にある世界を知らない老人を

意味を成さない文字列が笑いながら

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