冬/もっぷ
あの日
さくらの頃
ピンクのセーターのなかに
白いブラウスそして
赤いスカートの
あなたがはにかむ一枚を
十二年後のいま
みているわたしはもう
さくらからは遠く
あなたより恵まれていること
恵まれていないこと
詮無くかぞえ
ここにいる
あなたのために何かできないか
考え戸惑い
何もかもを暗喩の砦に暗号化して
閉じ込めるべきなのか
思惟はそこでため息を終止符の代わりに
指先のかじかむ冷たい部屋は
どんな警告音よりも
うつつを知らせ
住人を失意の具現の海に沈める
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