モ・ガンボセッションを、聴きながらーちぐさにてー /服部 剛
「僕の詩人の先輩の植木肖太郎さんって
あの幻のモ・ガンボセッションをやった
モ・ガンボの店主の植木幸太郎さんの
甥らしくてね…」
「えー…!まじっすか?」
「いやいや偶然だねぇ…どうやら明日は
素敵な夜になりそうだ…」
打ち合わせを終えて、1階の店内へ
狭い階段を下りた、僕は
「モ・ガンボセッション・54」
のレコードを、リクエストする。
――そこは、60年前の伊勢佐木2丁目の本通り
幻のライブで渡辺貞夫のサックスは、獣の奇声を吠え
夭折のピアニスト・守安祥太郎の長い指は
時空を越えた鍵盤の上で、小躍りする
泉のように湧き出る無数の音符等を、ばら撒いて
瞳の前に、両手をぎゅ…とあわせた、僕は
ちぐさから天へてれぱしいを、送信する――
(はじめまして、守安さん…1月25日の
土曜日は、よかったら
時を越えたちぐさで煙の漂う夢の夜に
ふらりと、遊びに来てくださいね)
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