空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 
ん。」
  その男性はへんな欠伸をしながら体でYの字を描いて、万年酒気帯びと思えるような座った酒臭さを起こしながら立ち上がり、廊下のトイレに行き、ふらふらと戻ってきた。そのときのスリッパのペタペタという音に芸があった。
「わし、京都出身の草刈言うねんちゅうねん、おはようさん。」
と、ギャグを含んだ癖のある言葉使い。
「森本海万言います、よろしくおねがいします」
「かいまん?変わった名前やな。どうやって書くの?」
「海に、漢数字の万です。」
「漢数字の万、おもろい。はじめて聞いたわ。漢数字の万、漢数字の万!くっくっく。なんか、忍者みたいやな。漢数字の万、只今参上!くっくっく。」
  
[次のページ]
戻る   Point(1)