電脳と死の雨/hahen
 

「昨日、そういえばさ、雨、降ってたじゃん」
「ん?」
「雨、降っててさ、帰る時止んでて、俺ここに、傘忘れてったよな」
「あん?」
「だから……!」
「昨夜雨なんか降ってねえよ。星がいくつも見えてただろ」
 そうしてぼくは雨に打たれて濡れそぼっていく。身体が凍えていく。ぼくの踵や土踏まずはずっと乾かない。でもおじさんは濡れない。濡れなかった。ぼくは多分これから何度か死ぬだろう。だからこそ、おじさんは死んで、死に終わったんだ。

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