とばり、/左屋百色
悲しみより圧倒的に遅い窓、電車の。
価値の違いを理解できない、爆音の。
情報を情報で重ね続ける、液晶の。
ユーモアの先端に知性が宿る、海馬の。
春風に乗る言葉たち包む、木綿の。
深い深い闇より深い、無月の。
コンビニ前に広がる宇宙、青春の。
批評で混乱し血まみれの極道、文学の。
雑に空間を埋めやがる光、人工の。
遮断機の音で刻む物語、日常の。
今日も陽が落ちてゆくよ、狂気の。
とばり、現代詩になる。直前の。
とばり、現代詩に今。激突の。
とばり、私がよんだ君の詩だ。現代の。
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