冬静 /
小林螢太
凍結する
冬の寒風に身を晒し 、立ち泳ぐ
辺りには静寂が満ちていて
指先から徐々に冷えてゆく
あらゆる感情の蛇口は
かたく閉じて
それがいいことなのか
悪いことなのか
判断することさえおぼつかないまま
いっそ
この鮮烈な寒さに
びゅん、と身を投げて
凍死したい、と思うのです
暖をとろうとして
息を吹きかけた指先が
ぱきん、と砕けて粉々になる
凍った身体が見つけられる頃には
きっともう
全身が結晶化している、ことでしょう
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